「社会化期ってよく聞くけど、結局何をすればいいの?」
初めて大型犬の子犬を迎えたあなたは、そんな不安を抱えていませんか?
特に大型犬は力が強く、将来のことを考えると「今のしつけが本当に正しいのか」と迷う場面も多いはず。
そのカギを握るのが、“社会化期”と呼ばれる子犬の貴重な時期です。
本記事では、社会化期にやっておくべき10の行動をわかりやすく紹介します。
やっておいてよかったリアルな体験談も交えつつ、将来トラブルのない大型犬ライフを叶えるためのヒントをお届けします。
なぜ社会化期は“しつけのゴールデンタイム”なのか

社会化期とは、子犬が生まれて初めて“世界”に触れ始める、非常に重要な時期です。
具体的には、生後3週齢ごろから始まり、14週齢あたりまでの期間を指します。
この時期の子犬はとても柔軟で、見るもの・聞くもの・触れるものすべてを素直に吸収し、記憶していく“吸収スポンジ”のような存在です。
この貴重なタイミングで経験した出来事は、「これは怖くないんだ」「こうすれば安心なんだ」とポジティブに記憶され、やがて成犬になったときの行動や性格、さらにはストレスへの耐性にまで大きな影響を及ぼします。
逆に、この時期にネガティブな体験や過度な刺激を受けてしまうと、恐怖心や警戒心を抱えたまま成長する可能性もあるのです。
実は筆者自身も、大型犬の社会性の大切さを痛感する出来事がありました。
ある日、1歳をすぎた頃のラブラドールと散歩していたときのこと。
歩道を歩いていた私たちの背後から、軽トラックが近づいてきました。
荷台には2匹の大型犬が乗っていて、トラックが最も近づいた瞬間――突然、荷台の犬たちが大きな声で吠えたのです。
その瞬間、私の愛犬は驚いてパニックに。
リードを絶対に離してはいけないと反射的に踏ん張りましたが、想像以上に強い力で引っ張られ、私は転倒してしまいました。
顔を打ち、体のあちこちを擦りむいてしまい、しばらく動けなかったほどです。
しかも愛犬は、その拍子に車道へ飛び出してしまい…幸いにも、親切なドライバーが即座に停車してくれたおかげで大事故には至りませんでした。
軽トラックはそのまま走り去りましたが、「荷台に犬を乗せるって違反じゃないの?」と疑問に思って調べてみたところ、実は法律的には禁止されていないとのこと。
とはいえ、吠えられたことでうちの犬がパニックになり、もし誰かに飛びかかったり、車と接触していたら――その責任はすべて私(飼い主)にあるのだと痛感しました。
特に大型犬は、その体格とパワーゆえに「吠える」「飛びつく」「リードを強く引っ張る」といった行動が日常生活で問題になりやすく、小型犬以上にしっかりとした社会性が求められます。
たとえ性格が穏やかであっても、周囲の人や犬に与える影響が大きいため、飼い主側の責任も増してきます。
だからこそ、この“社会化期”を活かして、日常生活で出会うさまざまな刺激に慣れさせ、安心感と信頼を育てることが本当に大切なんです。
この時期にきちんとしたしつけとポジティブな体験を積み重ねることで、大型犬であっても人や環境に優しく、落ち着いて行動できる子へと育てることができます。
そしてその経験は、飼い主である私たちにとっても、一生忘れられない“学び”になるはずです。
社会化期はいつからいつまで?見逃しやすい時期の見極め方

子犬の社会化期は、一般的に生後3週齢〜14週齢(だいたい2〜3か月)の間に訪れるとされています。
この時期の子犬は、とにかく好奇心が旺盛で順応性が高いため、見たこと・聞いたこと・触れたものすべてをどんどん吸収していきます。
まさに「世界は知らないことだらけ!」とワクワクしている時期で、飼い主としてもたくさんの“初体験”を与えるチャンスなんです。
この時期に経験した刺激や体験は、その子の性格や行動のベースになります。
たとえば、人が大好きなフレンドリーな子になるか、それとも見知らぬ人に怯えて吠えてしまう子になるか…その分かれ道が、この社会化期にあると言っても過言ではありません。
ただし、注意したいのが“お迎えのタイミング”。
ブリーダーやペットショップから子犬を迎える時点で、すでに社会化期が始まっていたり、後半に差しかかっていることも少なくありません。
「うちに来たばかりだから、少し慣れてから…」と様子を見ているうちに、社会化期が終わってしまうケースも実は多いんです。
だからこそ、お迎えしたその日から“社会化”はスタートしているという意識を持つことがとても大切。
「初日から完璧に慣れさせよう!」と頑張りすぎる必要はありませんが、子犬が“怖くない”“大丈夫だ”と感じられるよう、小さな刺激や経験をコツコツと積み重ねていくことがポイントです。
チェックポイント:
- 初めての散歩はワクチンが終わってからがおすすめ!
でもそれまでは、抱っこで外に出る“疑似散歩”を始めましょう。
外の空気・音・匂いを体験するだけでも、社会化には十分効果があります。 - 家の中でも社会化はできる!
掃除機やテレビの音、人の声や来客、いろんな素材のおもちゃなど、
日常の中にちょっとした“刺激”を用意してあげましょう。 - 家族全員で関わることが大切
特定の人ばかりが世話をすると、その人以外に慣れにくくなることも。
声をかけたり、遊んだり、誰とでも信頼関係を築けるように工夫を。
この短い時期にどんな体験をするかで、将来の“安心できる犬生”が大きく変わります。
「まだ小さいから」と思わず、今この瞬間がゴールデンタイムだという意識で、できることから始めてみましょう!
次に、行動するべき「10のこと」について詳しく解説していきます。
【1】家族とのふれあいで「人慣れ」の土台をつくる

まず最初にやるべきこと、それは「人間って安心できる存在なんだ」と子犬に感じてもらうことです。
これが社会化の“第一歩”であり、すべてのしつけの土台になります。
特に家に来たばかりの子犬は、知らない環境・知らない音・知らない匂いだらけ。
そんな中で、飼い主や家族が優しく話しかけたり、そっと撫でたりしてくれると、「この人たちと一緒にいれば大丈夫」と学んでくれるのです。
たとえば、
- 朝起きたら「おはよう」と声をかけて軽くなでてあげる
- ごはんをあげるときに名前を呼んでアイコンタクトをとる
- ソファでテレビを見ているときに、そっと隣に座らせてあげる
…こんな小さなことの積み重ねが、子犬の心に安心感を与え、「人とのふれあい=心地いい」と感じさせるきっかけになります。
注意したいポイント:「お世話係が1人」状態
よくあるのが、「パパはあまり犬に関わらないけど、ママが全部お世話してる」パターン。
確かに毎日のエサやりやトイレ掃除、散歩などは1人に偏りがちですが、これが続くと子犬はその人にだけ心を開き、他の家族を“知らない人”と判断してしまいます。
そうなると、
- 家族が近づいただけで吠える
- パパがリードを持つと歩かなくなる
- 子どもが触ろうとすると逃げる
…といった“選り好み行動”が起きやすくなります。
これでは、いざというときに他の家族がケアできなかったり、犬自身が不安を感じてしまったりする原因に。
具体的な対策アイデア
- ごはんの時間を家族で交代制にする(毎日担当を変える)
- 名前を呼んでおやつをあげる係をローテーションする
- 休みの日はパパが散歩に行く
- お子さんがいる場合は、遊びタイムを一緒に設けて「楽しい人」と認識させる
こういった日々の“役割シェア”が、人への信頼の幅を広げるポイントです。
家族みんなで関わることで、子犬も「この家はみんな安心できる!」と感じて、自然と人懐っこい子に育っていきますよ。
【2】さまざまな音・モノに慣れさせる(掃除機・インターホンなど)

子犬の社会化期には、「音」に対する感受性がとても高くなります。
この時期にどんな音に出会ったか、そしてその音が“怖いもの”だったのか“平気なもの”だったのかという体験は、その後の人生(犬生)に強く影響します。
たとえば、初めて聞いた掃除機の音でパニックになったり、インターホンが鳴るたびに吠える子になったりするのは、音に対してマイナスの印象を持ったまま育ってしまったからかもしれません。
慣らしておきたい生活音の例
- 掃除機・洗濯機のモーター音
→ 初めて聞いたときにびっくりして逃げる子が多いですが、距離を取りながら「大丈夫だよ」と声をかけて慣らしていきましょう。
※おすすめの始め方:子犬が離れた場所にいるときに一瞬だけスイッチを入れ、おやつをあげる → 少しずつ近づける。 - インターホン・チャイムの音
→ 突然鳴る高い音に驚いて吠えるようになるケースが多いです。
スマホの録音機能などを使って音を流しながら、「鳴ってもいいことが起こる」と学ばせましょう。(例:音の後におやつ) - 自転車・バイク・車のエンジン音や通過音
→ 抱っこで散歩しているときに通りかかる乗り物を見せて、「怖くないよ」というリアクションを見せましょう。
特にバイクのエンジン音は苦手な子が多いので、距離とタイミングに注意して。 - テレビやYouTubeの音(ニュースの音・子どもの声・音楽など)
→ 日常のBGMとしてテレビをつけっぱなしにしておくのもひとつの手です。
“いろんな声や音がするのが普通”という感覚を自然に身につけられます。
慣らし方のコツとポイント
- 最初は音源を遠くに置いて小さな音量からスタート
→ 慣れてきたら徐々に音量を上げたり、距離を縮めたりしていきます。 - おやつや褒め言葉で「音=いいこと」と関連づける
→ たとえば掃除機の音が聞こえたら、すぐに「えらいね〜」と声をかけてご褒美をあげる。 - 無理に近づけたり、怖がっているのに続けたりしないこと
→ 一度でも「これは怖い!」と思わせてしまうと逆効果になるので、あくまでゆっくり・少しずつが基本です。
「音への慣れ」は、将来的な吠え癖やパニック行動を防ぐうえでとても重要です。
この社会化期にできるだけ多くの音を、“安心できる生活の一部”として体験させてあげましょう!
【3】他の犬・動物と安全に交流する

他の犬と触れ合うことは、社会化の中でもとても大切なステップです。
犬はもともと群れで生きる動物。
だからこそ、「犬同士のルール」や「距離感」を学ぶ機会が必要なんです。
ただし、いきなりドッグランに放すのはNG。
この時期はまだワクチンが完了していないことも多く、衛生面・安全面からしてもリスクがあります。
スタートは“信頼できる犬”との交流から
社会化期のうちに初めて出会う犬が「優しい犬」か「怖い犬」かで、その子の“犬嫌い度”が大きく変わります。
理想は、以下のような環境での交流です:
- 実家や友人が飼っている穏やかで社交的な成犬と、短時間遊ばせてみる
- 近所の知り合いが飼っている月齢の近い子犬同士で、5〜10分ほどじゃれ合いをさせてみる
- 散歩デビュー前なら、お互いに抱っこしたまま鼻先だけ軽く合わせるのもOK!
筆者の例では、生後2ヶ月のラブラドールを知人のシーズー(穏やかな成犬)と初対面させました。
最初は腰が引けていたものの、相手が落ち着いていたことで徐々に安心し、数分後には自分から近寄ってにおいを嗅ぐようになりました。
このように、「怖くない犬がいる」という経験は、将来ドッグランや散歩中の他犬との遭遇でも落ち着いて行動できるベースになります。
交流時の注意ポイント
- 体格差に注意!
大型犬の子犬と小型犬の成犬では、パワーバランスが合わないことも。体格が近い犬との交流がベターです。 - 遊びがエスカレートしないよう、時間は短めに(最初は5〜10分程度)
疲れる前に終了することで「楽しかった」で終われます。 - リードをつけたまま軽く遊ばせると、万が一のコントロールがしやすい
- おやつやお気に入りのおもちゃは持ち込まない
モノの取り合いで喧嘩になることもあるため、初対面のときは避けるのが安全です。
他の動物とも交流できると◎
犬以外の動物(猫や鳥、うさぎなど)を日常的に目にする環境に慣れさせるのも社会化の一環です。
もちろん触れ合いまでは難しくても、「見るだけ」「匂いを感じるだけ」でもOK。
たとえば近所に猫が多いなら、抱っこで散歩しながら静かに観察させるのも良い経験になります。
他の犬や動物とのふれあいは、子犬にとって「世界は犬以外にもいろんな仲間がいるんだ」と知るきっかけになります。
怖がらせず、少しずつ楽しい記憶を積み重ねていけるよう、“安心できる出会い”をプレゼントしてあげられるといいと思います。
【4】抱っこや触れられることに慣らす(グルーミング練習)

大型犬であっても、「人に触れられること」に小さいうちから慣れておくことはとても大切です。
というのも、将来的に病院での診察や、トリミングサロンでのケア、自宅でのブラッシングや爪切りなど、体を扱われる場面がたくさん出てくるからです。
社会化期のうちにこうした“触れられる体験”を積んでおくことで、成犬になったときの不安や抵抗をぐっと減らすことができます。
こんなふうに触る練習をしてみよう!
- 足先を優しく握る → 離す → 褒める
→ 足先は特に敏感な部位なので、爪切り時に暴れたり嫌がる子が多いです。
最初は片足だけ、1秒だけ触るところからスタート。
おやつとセットで「触られても怖くない」と教えていきましょう。 - 耳をめくって中をそっと確認 → おやつをあげる
→ 耳のチェックも動物病院で必ずある項目のひとつ。
「耳を触られるのってイヤ!」と思わせないよう、毎日ほんの数秒から習慣に。 - 口周りを撫でる → 唇を少しめくって歯を見る練習
→ 将来的なデンタルケア(歯磨き)や異物チェックのためにも、口元タッチはマスターしておきたい動作です。
あくまでも優しく、力を入れずに。
仰向け抱っこやリラックスポジションも練習しよう
子犬が「完全に安心して体をゆだねる状態」になれると、ケア全体がぐっと楽になります。
おすすめなのが、膝の上に仰向けに寝かせてみる“リラックスポジション”の練習。
最初は足をばたつかせて嫌がるかもしれませんが、落ち着いた声で話しかけながら撫でてあげると、次第に力が抜けてきます。
「じっとしていると褒められる・なでてもらえる」と学べば、ケアされることが“イヤなこと”ではなくなっていきます。
実際に筆者のラブラドールも、仰向けの練習を繰り返すうちにブラッシング中も目を閉じてリラックスするようになりました。
忘れないで!「ごほうび」は毎回セットで
どの練習も、“触る→すぐに褒めるorごほうび”の流れが基本です。
触られたあとに必ずポジティブな出来事があることで、「触られるのっていいことだ!」と認識してくれます。
また、1日5分程度でも十分効果があります。
短時間・優しいトーンで、少しずつ慣れてもらいましょう。
社会化期のうちに触れ合う習慣を作っておけば、将来のケアだけでなく、犬との信頼関係もぐっと深まります。
大型犬こそ、扱いやすい子に育てるための“触れ合いトレーニング”、今からコツコツ始めてみてくださいね!
【5】リードをつけての散歩デビューは慎重に

大型犬の子犬は、あっという間に体が大きくなり、力もどんどん強くなっていきます。
「まだ子犬だし可愛いな〜」と思っていたのも束の間、数週間後には大人顔負けの引っ張りパワーを見せるようになることも。
だからこそ、リードや首輪(ハーネス)に慣らすトレーニングは早めにスタートしておくのがポイントです。
室内での“なんちゃって散歩”からスタート
まずは、家の中でリードの感触に慣れさせましょう。いきなり外へ連れて行く必要はありません。
- ステップ1:首輪やハーネスをつける練習
→ 最初は2〜3分つけておくだけでOK。
つけた瞬間におやつをあげて、「これをつけるといいことがある」と教えていきます。 - ステップ2:リードをつけて部屋の中を一緒に歩く
→ 無理に引っ張らず、子犬が自分から動きたくなるようにおやつやおもちゃで誘導すると◎。
たとえば「リビングからキッチンまでついてくるだけ」のレベルから始めましょう。 - ステップ3:短時間の“室内おさんぽタイム”を毎日習慣に
→ 同じ時間帯に軽く歩くだけでも「リード=日常の一部」になっていきます。
筆者の場合、1日3分だけ庭を歩く練習を繰り返していたところ、1週間ほどでリードを見ると自分から近づいてくるようになりました。
「つける=お出かけ!」と覚えてくれたようです。
外の世界は刺激がいっぱい!“抱っこ散歩”で慣らそう
リードに慣れてきたら、いよいよ外へ…!と言いたいところですが、ワクチンがまだ終わっていない段階では地面を歩かせるのは避けたいところ。
そんなときは“抱っこ散歩”からスタートするのがおすすめです。
- 抱っこして、家の前や近所の公園を5分ほど歩くだけでもOK
- 車の音、人の話し声、風の匂いなど…子犬にとってはすべてが新鮮な経験
- おとなしくしていたら「えらいね!」と声をかけて安心感を与えてあげましょう
たとえば、商店街を歩いてみる、交差点の信号待ちを経験してみるなど、短時間でバラエティのある音や人混みを体験できる場所を選ぶのもおすすめです。
こんなことに注意しよう
- 急な物音やバイクの音などにパニックになる可能性あり
→ 最初は静かな時間帯・場所から始め、慣れてきたら少しずつ環境を変えていく - リードを急に引っ張らないように!
→ 子犬が怖がって動けないときに無理やり引っ張ると「外は怖い」と記憶してしまう可能性があります - 「止まる」「待つ」練習も同時に取り入れて
→ 外でのコントロールがしやすくなります。信号待ちやコンビニの前で立ち止まる習慣をつけていくと◎
リードトレーニングは、ただのお散歩練習ではありません。
将来の安全管理にも直結する大切なステップです。
社会化期に「リード=楽しい」「お外=安心できる場所」としっかり教えてあげることで、落ち着いて歩ける大型犬へと育っていきますよ。
【6】クレートトレーニングで安心できる場所をつくる

クレート(キャリーケース)は、子犬にとって“安心できる自分専用の部屋”のような存在にしてあげるのが理想です。
しかし何の準備もなく無理やり閉じ込めてしまうと、「怖い」「閉じ込められる」「怒られる場所」とネガティブに記憶してしまう可能性があります。
社会化期のうちから、クレート=安心・リラックスできる場所というポジティブな印象を育てることで、将来的に通院・旅行・災害時など、どんな場面でも落ち着いて過ごせる子に育ちます。
クレートに慣れるステップ&具体例
- クレートの中にお気に入りの毛布やおもちゃを入れる
→ まずは「ここに入るといいことがある」と思わせることが第一歩。
たとえば毎日のお昼寝をクレートの中でさせてみるのも◎。 - おやつで誘導して、自分から中に入る体験を繰り返す
→ いきなり扉を閉めるのではなく、最初は扉を開けっぱなしの状態で「入ったらおやつがもらえる」という楽しいサイクルを作りましょう。
筆者の場合、クレートの中にペースト入りのコングを入れて、自然と入りたくなる状況を作りました。 - 慣れてきたら“扉を閉める→すぐ開ける”を繰り返す
→ 「閉じ込められた!」と感じさせないように、最初は数秒からスタート。
閉めてもすぐ出られる=安心、と学ばせていくのがコツです。
クレートは“落ち着く場所”として使おう
クレートはただの移動用アイテムではなく、犬にとっての「心を休めるスペース」として活用できます。
たとえば…
- 来客中に興奮しがちな子も、クレートに入っていれば安心して静かに過ごせる
- 不安な音がしたときなどに、逃げ込む“避難場所”として使える
- 家族が騒がしくても、ひとりで落ち着ける空間になる
また、普段から慣れていることで、動物病院やトリミングサロンへ連れて行くときにも大きな安心材料になります。
慣れていないと、キャリーに入れた瞬間からガタガタ震えてしまったり、暴れて出ようとすることもありますが、社会化期にポジティブな記憶を積んでおけば、その心配もぐっと減ります。
災害時にも命を守る“安心基地”に
地震・台風・避難など、万が一の災害時にも、クレートに入って落ち着いていられることは非常に重要です。
避難所では、他の人や動物との距離を保つ必要があるため、クレートに入れない子はストレスや事故の原因にもなりかねません。
そのためにも、「クレートに入る=落ち着く」「むしろ好き!」と思わせておくことは、命を守るトレーニングでもあるのです。
社会化期は、何かを「楽しい」「安心」と覚えやすいゴールデンタイム。
クレートを“特別で心地いい場所”にするために、今日からぜひ少しずつ慣らしていってくださいね!
【7〜10】実際にやってよかった体験談&応用編(車・病院・外食)
ここでは、筆者を含む飼い主さんたちが社会化期に実際にやってよかったと感じた応用トレーニングをご紹介します。
これらは「いきなりやるのはちょっと不安…」という場面だからこそ、社会化期に慣らしておくと将来的に本当にラクになります!
【7】車に乗る練習

最初は車に乗ることすらドキドキな子犬たち。
でも慣れていないと、将来的にドライブ中に吐いてしまう、怖がって鳴き続ける、暴れて危険などの問題に繋がります。
筆者のラブラドールは、最初はエンジン音にビクッとしていましたが、エンジンをかけて数分間車内にいるだけ→徐々に短距離ドライブ→10分→20分…と段階的に慣らしていきました。
そのときに使ったのが「車に乗ったらおやつ」「静かに座れたら褒める」という流れ。
そして連れていく先で、わずかでも良いので散歩をしたり、ロングリードをつけてボール投げをしたり等、「車に乗ると楽しいところへ行ける」と思うようになった様子です。
また、荷台のクレートに入れて固定することで、安心感もアップ。
今では車のドアを開けると大喜びで乗り込み、ドライブが楽しみな子に育ちました!
【8】動物病院に慣れる練習

動物病院って、何もしてなくても「怖い場所」認定されがち。
におい・雰囲気・他の犬の声など、初めて行くときは緊張して当然です。
でも、社会化期に「診察なしでただ行ってみる」だけの練習を何度か繰り返すと、反応がまるで違います。
たとえば、
- 病院の前まで散歩ついでに寄って、おやつをあげる
- 待合室に5分だけ座って帰る(何もされない経験を積ませる)
- 看護師さんに声をかけてもらって、人の優しさを感じさせる
筆者の愛犬が通う動物病院は穏やかな雰囲気のスタッフが多く、やはり動物が好きなのか快く協力してくれました。
この方法で、病院=優しい人がいる場所、というイメージがついたようで、待合室では落ち着いて過ごせるようになりました。
病院嫌いになるかどうかは、最初の印象がカギです!
【9】人混みを体験(抱っこ)

ワクチン前の社会化でおすすめなのが、「抱っこ散歩」で人混みに連れていくことです。
特に商店街や休日の公園など、ほどよく人がいてにぎやかな場所は、いろんな刺激に慣れるチャンス。
具体的には:
- ベビーカー、ランニングする人、買い物袋を持った人など多様な人の動きに触れられる
- 車の音、アナウンス、子どもの声など環境音のバリエーションが豊富
- 人に「かわいい〜!」と声をかけられることで、人に対する好印象が強化される
このとき、吠えたり怖がったりしなければおやつをあげる・褒めることで「外の世界=楽しい」と感じてくれます。
筆者も商店街のベンチで10分ほど抱っこして座ることを繰り返したところ、通りがかりの人に撫でられても動じない子になりました。
さらにドッグトレーナーの方に「大型犬って、お座りしているだけで『おりこうさんだね〜』って褒められやすいんですよ」と言われたことがあり、
実際に筆者のラブラドールもお座りしているだけで何人もの人に声をかけられ、自信をつけたように見えました。
社会化の一環として、人の多い場所でも落ち着いて過ごせる経験を積むことは、大型犬にとって特に価値のある練習です。
【10】テラス席のカフェで落ち着く練習

「お出かけ先でも落ち着いていられる犬にしたい」――
そう思うなら、カフェのテラス席での練習がとてもおすすめです。
(※もちろん、ワンちゃんOKなカフェを選んでくださいね)
最初は静かな平日の昼間など、混雑していない時間帯を選びましょう。
カフェの足元で、クレートやブランケットを敷いて「ここが落ち着く場所だよ」と教えてあげます。
たとえば:
- カフェに入る前にトイレを済ませておく
- イスの下に座らせて、リードを短めに持ち、無理に動かないように配慮
- 最初は10〜15分だけ注文→軽く飲んで帰るだけでも十分
また、バスタオルでも何でもよいので一枚“マット”を用意し、「この上では伏せて待つ」ことを教えておくと便利です。
マットが“落ち着く合図”になるようにしつけておくと、外出先でもそのマットを敷くだけで自ら伏せてリラックスするようになります。
これはカフェに限らず、旅行先や知人宅など、どこでも使える応用力の高いしつけ法です。
筆者のラブラドールも、最初は店内で落ち着かない事もありましたが、マットの上で伏せる練習を重ねたことで、今ではマットを敷くだけで自然とリラックスポジションをとってくれるようになりました。
こうした小さな積み重ねが、「どこに行っても安心して過ごせる子」に育てる大きな一歩になります。
まとめ:社会化期にやったことは一生もの

社会化期は、生後3週齢〜14週齢というたった2〜3か月の短い期間。
けれど、このわずかな時間にどんな経験をしたかが、その子の犬生を左右するといっても過言ではありません。
性格・行動パターン・ストレス耐性――すべての“土台”が、この時期に形成されていくのです。
「掃除機の音に驚かない」「ほかの犬と落ち着いて接することができる」「病院や車にも慣れている」
――これらはすべて、小さな頃に経験してきたからこそ身につく力です。
一度“怖いもの”として覚えてしまうと、それを取り除くには相当な時間と根気が必要になります。
特に大型犬は、成犬になったときのパワーや存在感が大きいため、子犬のうちから人間社会でのルールと安心感をしっかり教えることが大切です。
それは飼い主の安全のためだけでなく、犬自身がストレスなく、人間と調和して暮らしていくための“生きる力”でもあります。
社会化期にできることは、難しいことではありません。
リードの練習、音への慣れ、ほかの犬とのふれあい、人混みでの経験、カフェで静かに待つこと…。
どれも日常の中で、楽しみながら教えてあげられることばかりです。
今しかできないこのタイミングで、あなたの手で“世界は安全で楽しい場所だよ”と伝えてあげてください。
その積み重ねが、一生信頼できる最高のパートナーを育ててくれます。
そして忘れてはいけないのが、社会化期が過ぎても、同じようなトレーニングは繰り返し続けていくことが大切だということ。
「慣れて終わり」ではなく、定期的に刺激と成功体験を与えることで、より落ち着いた行動や安定した性格が育まれていきます。